バイオっさんです。
今回ゲームとは直接関係ありませんが最近読んでどうしてもレビューしたくなった漫画があるのでご紹介します。
それは小学館のビッグコミックにて連載中のジャズ漫画BLUE GIANT(ブルージャイアント)。
石塚真一の描くこの作品を1~4巻まで読んでの評価、解説をしていきます。
ジャズに興味の無い方でも読めるこの作品であなたも世界で通用する人間の人生を追体験せよ!
石塚真一「ブルージャイアント」ってどんな漫画?
ブルージャイアントとは、これまでジャズを知らなかった中学生:宮本 大(みやもと だい)がひょんなきっかけでジャズを知り、テナーサックスで世界一のジャズプレーヤーを目指すという漫画です。
この漫画の作者は石塚真一。
代表作は小栗旬主演で映画化もされた「岳(がく)-みんなの山-」です。
私はこの漫画未読なので分からないのですが、名作と名高いようですね。
そんな彼が現在小学館のビッグコミックにて連載中なのがこのブルージャイアント。
あらすじだけで説明すると非常にシンプル。
それもそのはず。あらすじの通り主人公の大が世界一のジャズプレーヤーをただひたすらに目指すという漫画でしかありません。
しかしそのシンプルさゆえ、この作品に込められた熱が読者の心を熱くさせるのです。
非常に現実的でドラマティックな魅せ方
ジャズと聞くとあなたはどんなイメージを抱きますか。
おそらく多くの人が多少なりとも「古い、難しい、良さがイマイチ分からないな~」と思うはずです。
それを悪いとは決して思いませんし、私自身ジャズというジャンルは好きですが知識など皆無です。
ですが、知識がないからこそ逆に読めてしまうのがこの作品の魅力だと言えます。
あらすじでも書きましたが、主人公の大(だい)は中学時代ジャズなど全く知らないバスケット部の少年でしかありませんでした。
しかし、身長や身体能力など生まれ持っての身体的才能次第で限界が決まってしまうバスケットに対し音楽には限界など無いことに衝撃を受けた大は世界一のジャズプレーヤーになることを決意します。
楽譜も全く読めないズブの素人である彼がまっすぐに目標だけを見て挑戦し続ける姿にきっとあなたも胸を熱くするでしょう。
この漫画はとにかく設定が現実的に描かれているのが特徴。
時代設定はもちろん現代の日本。
昔日本で流行したことのあるジャズというジャンルも現在ではJポップやロックより圧倒的にファンの少ない、言ってみれば大衆的人気のないジャンルです。
作中でもこの現実を高校生の大は師匠に突きつけられます。
そんな現代の日本でも彼は世界一のジャズプレーヤーになることを決めているわけです。
周囲の人間が受験などの進路を決める中、彼一人はどんな天気の時も絶対に河原やトンネル(そこに行くまでがすでに大変な場所にある)で練習することを欠かしません。
押し付けがましくは描かれませんが主人公の家も決して裕福ではなく、大が持っているテナーサックスというかなり高価な楽器も彼の兄が大変な覚悟、思いで買い与えたものです。
そんなすべての責任やプレッシャーを背負ってもなお大はジャズプレーヤーになることを決して諦めません。
そしてそんな彼のひたむきで真っ直ぐな思いが周囲の仲間、かつて音楽に夢を描いた大人、そして何よりこの漫画を読む読者自身の心を激しく揺さぶるわけです。
この漫画を読むと
「ああ、世界で通用する人間てこういう人なんだなきっと」
とあなたは思うはずです。
一流になれる人間というのはどこまでも純粋なのです。
そんな彼の人生を作者である石塚真一は非常に現実的かつドラマティックに魅せることができます。
そこがこの作品に対しバイオっさんが一番驚いた所です。
この漫画を読むと確かに私の生きているこの現実に宮本 大は存在し、今もひたすらに世界一のジャズプレーヤーを目指しているような気がしてくるのです。
ブルージャイアントはただの漫画でしかありません。
しかしこのただの漫画からはなぜか音楽が聴こえ、登場人物が生き、魂を揺さぶる熱を感じることができます。
視覚以外の情報、すなわち聴覚や触覚の情報すらこの漫画から感じることができるわけです。
これはとても凄いことだと思います。
「ブルージャイアント」のテーマ それは「挑戦」
この漫画を読んで私が思い浮かべたテーマは「挑戦」でした。
それは主人公の挑戦であり、音楽という紙媒体では決して伝わらない音楽というジャンルでどれだけ人に音楽を聴かせるかという作者自身の挑戦でもあると考えたからです。
毎回毎回がジャズセッションのように魂をぶつけて生み出されているようだと私は感じました。
その結果としてこのブルージャイアントは読者にも熱を与えます。
未読の方はぜひこの作品をとにかく2巻まで読んでみてください。
そこで胸を熱くしたならば必ずあなたも宮本 大が世界を目指す姿を追体験し、応援したくなるはずです。
余談ですが、単行本だけに収録されていると思われるボーナストラックというのがかなりの見どころです。
連載時には載らなかった後日談がここで語られます。
インタビュー形式で描かれるこの後日談がまたたまりません。
本編中に主人公と関わった人物が長い時を経て過去を振り返り当時の記憶を話すというこのスタイル。
その話の端々から主人公の大がすでに現在大物ミュージシャンであるということが伺えます。
設定としては世界的ジャズプレーヤーとなった大の足跡をインタビュー形式で辿るといった感じでしょうか。
これを見たら胸を熱くせずにいられません。
バイオっさんはこの漫画が大好きになりました。