大人気ゲーム「ペルソナ5(P5)」の最新情報がついに公開されました。
2015年に発売日が決定したことや主人公達メインキャラクターの映像、そして怪盗というテーマ。
様々な情報がPVで公開され興奮冷めやりません。
今回はそんなペルソナ5を始め、ペルソナシリーズがなぜここまで成功しているのかについて書いていきます。
私はその理由について開発チームの視点が素晴らしいからだと考えています。
最近のゲーム会社は「どこ」を向いているのか
最近の大手ゲーム会社は一体どこに向かってゲームを作っているのか。
私はこの問いに対し「そもそも人ではなくお金に向かってゲームを作っているのではないか」と考えています。
他の記事でも書いている通りPS3以降、映像技術の進化と共にゲーム開発には多くのコストが必要となってしまいました。
たくさんのお金がかかるのであれば当然それ以上の儲けを欲しくなるのは企業として当然のこと。
そのことについて悪く言うつもりはありません。
ですがエンターテイメントを提供する会社が利益を念頭に置いたビジネスをするということはあまり良いことではありません。
必ず「こうやればあなた達は満足するのでしょう?」という打算的な思考が見え隠れしてしまうからです。
ゲームだけではありませんが、商品開発というものは「どんな人を満足させられるものを作るか」という消費者目線が重要です。
ですが最近の日本のゲーム、特に大作ゲームはその満足させる相手像が非常に曖昧になっているのではないかと私は考えています。
「(海外を含め)あんな人にもこんな人にも刺さるものを作ってたくさんゲームが売れるようにしよう」
そんな開発側の声が最近のゲームには見えている気がします。
そしてそれは開発している人間ではなく、それよりもっと上の立場にいる会社を運営する人間の意思によるものだと私は思います。
その結果がジョジョの奇妙な冒険オールスターバトルやバイオハザード6などの「見た目だけ良くて中身がスッカラカンのゲーム」を作ってしまうわけです。
この2つのゲームに共通して言えることは「設定だけ壮大だが中身が全然伴っていない」ということです。
少なくとも開発する人間の視点はゲームをプレイするユーザー寄りになっているのではないかと思います。
しかし開発スタッフと経営者の向いている方向の食い違いがあり、尚且つ経営者側の意見が強いことによって駄作が生まれてしまう結果となってしまうのでしょう。
経営者が望むことは常に「より多く売れるゲームを作れ」という目線でしかないのですから。
大きな会社の経営者の視点はどちらかというと人よりお金に向いていると思います。
だから「こんな人に楽しんでもらえるゲームを作る」という開発者側の視点がボヤケてしまうのです。
そんな中、ペルソナシリーズは一貫して一つの視点を崩していません。
彼らは一体どこを向いているのでしょうか。
ペルソナ5のPVに見る視点 それは一貫した「日本の現代の若者」
皆さんはペルソナ5の最新PVをもうご覧になりましたか。
私はこの動画を見てただ一言「お見事」と思いました。
非常に良い意味でこの作品に対する安心感を感じたからです。
ペルソナ4が長い時間をかけ大ヒットをとなり、今後の続編制作の敷居が逆に高くなってしまったのではないかと心配していました。
しかしそれは杞憂に終わったと思えたのがこのP5のPVであり、開発チームのブレないペルソナシリーズへの熱い思いでした。
RPGという一見重いジャンルを日本の現代の学校というライトな分野に当てはめるという中々に斬新なアイディアがペルソナシリーズの特徴です。
ですが日本の学校を舞台にすることにより、いわゆるゲーマーと呼ばれるゲームが上手い人だけでなく普段あまりゲームをしない人にも支持されているのがこのペルソナシリーズ。
ペルソナシリーズでは毎回中学生から高校生までに必ず誰もが経験する思春期特有の複雑な人間関係や恋愛、大人へのあこがれ、自分への劣等感などが上手く取り入れられプレーヤーに共感を与えます。
そしてこのゲームの素晴らしい所は「ゲームに自己投影ができ、しかも自分が出来なかったことをやってくれる」点にあります。
恋愛然り、勉強然り、人間関係然り。
多くの友人と一致団結して一つのことをやり遂げたり、恋仲になったり、プレーヤー自身の心の弱さを代弁し、許してくれるキャラがいたり。
そんなプレーヤー自身の葛藤を上手く汲み取り、一つの答えと救いを与えてくれる。
それがペルソナシリーズの評価される大きな要因です。
このスタンスでゲームを出せるというのは中々凄いことです。
ゲームを提供する側の大人が日本の学生と同じ目線に立って一緒に物事を見ているのですから。
「若い奴らはこういうのが好きだからこういう要素を入れておけばいいだろう」という上から目線ではないのです。
一緒に同じものを見て、悩み、そこに少しだけ答えとなるようなものを提示する。
そんな学校の先生のようなスタンスがペルソナ開発チームの素晴らしい所なのです。
私はそんなペルソナチームの謙虚さを評価しています。
たくさんゲームを売るには海外を視野に入れたより多くのプレーヤーを満足させられる要素を取り入れたゲームを作らなければなりません。
ですがペルソナはそこを目指していません。あくまで日本の現代の若者を絶対に満足させられる作品作りを目指しています。
今回発表されたP5のPVでも、ワクワクするアニメ演出を始め日本の街並み、学校や秘密基地など日本人ならではの素晴らしい演出が目白押しでした。
私はそこに「ペルソナはやはりブレていないな」と安心したのです。
今回もやはりペルソナチームは日本の現代の若者を満足させられるゲームを全力で作っています。
ですがやはりペルソナ4が売れたというプレッシャーは必ず持っているはず。
開発チームにはぜひそんな過去の出来事に目もくれず全力で我が道を突っ走って欲しいものです。
ペルソナシリーズは最近他社に開発を依頼していわゆる「コラボゲーム」のようなものを作っていますがどれも高い評価です。
その辺りにもペルソナチームの一貫したブレない視点が垣間みれます。素晴らしい。