カプコンの人気タイトル「バイオハザードシリーズ」「デビルメイクライ」を始め、近年ではタンゴゲームワークスの「サイコブレイク」などを手がける日本のゲームクリエイター三上真司氏。
彼は一体どのような姿勢でゲーム開発に臨んでいるのでしょうか。
今回はそんな三上氏の一貫したゲーム作りへの姿勢について書いていきます。
自分の性癖を入れない
これはサイコブレイクのインタビューにて彼が発言したコメントです。
三上氏は基本的に自分の趣味嗜好や性癖をゲームに取り入れることを嫌います。
それはキャラクターデザインであったりストーリーであったり。
ですのでゲーム毎に全く異なる世界観や雰囲気です。
どちらかといえば自らアイディアを出すというより開発スタッフが上げてきたアイディアを積極的に採用するタイプのクリエイターなのでしょう。
分かりやすい対称例としてはデビルメイクライやベヨネッタなどで有名な神谷英樹(かみやひでき)氏が挙げられるでしょう。
彼の作るゲームはどこかアメリカ的な要素が強く、カッコつけていてもどこかカッコ付かないような所もよく見られます。
また大体主人公の口が悪く、いわゆるダークヒーロー的キャラが良く出てくるのが特徴でしょう。
そしてそれこそが神谷氏らしいゲームという訳ですね。
ですが三上作品ではそのような分かりやすい世界観は出来上がりません。
ストイックなゲーム作り
一見すると分かりませんが確実に三上真司らしさというのは存在します。
それは「ゲームのストイックさ」。
三上氏の関わるゲームは基本的に色彩を抑えたある意味派手さのない作品となる特徴があります。
例を上げるとバイオハザード、バイオハザード4、ゴッドハンド、ヴァンキッシュ、サイコブレイクなど。
派手な演出や鮮やかな画面のほうがユーザーの目を引きやすそうですが、彼は敢えてそれをしません。
それは彼自身がプロモーションよりゲーム内容の充実さに力を注ぐ、いわゆる職人気質だからでしょう。
また、彼の手がける作品はアクション要素が強くやや難しい傾向があります。
簡単な難易度の方がより多くのユーザーを楽しませられる作品にできるはずですが、あまり彼はそのようなゲーム作りを好みません。
ですがそれは決してユーザーを突き放しているのではありません。
いかにしてユーザーにやりごたえのあるゲームを提供するかという信念があるからこそやや難しい難易度設定となるのです。
このように三上氏のゲーム作りはプロモーションや演出の見栄えではなく作ったゲームそのものの面白さで勝負するという特徴があります。
最近ではいかに発売前のプロモーションに力を注ぐかがゲームの売れ行きに大きく影響を与える時代となりました。
そういった意味で一見彼のゲーム作りは時代と逆行しているように見えます。
しかしゲームとしての面白さこそがゲーム本来の魅力です。
そう考えると三上氏のゲーム作りこそがゲーム開発をする側にとって一番自然な姿勢なのではないかと私は考えます。
三上真司ゲームの共通点は「空気感」に出る
バイオハザード1や4、サイコブレイクなど、三上真司ディレクションのゲームには
共通点があります。
それはゲーム内の空気感。
独特の乾いた、それでいて洗練された雰囲気が彼の作るゲームには現れています。
そこにはあらゆる無駄を省いてゲームとしてどれだけ面白い要素のみを抽出できるかという意気込みが伝わってきます。
その発想は職人気質であり、芸術家のようでもあります。
ゲームという娯楽を徹底的に洗練させてユーザーに届ける。
そんな遊びに対する真摯な姿勢こそが彼のゲーム作りに対する姿勢なのです。