※2016年6月追記:サイコブレイク2に関する噂が・・・。
バイオっさんが非常に期待してPS4と一緒に購入を決意したゲーム。
それはサイコブレイク。
発売前とても期待したのに、なぜあのようなつまらない作品になってしまったのか。
ずっと考え続けた結果ある一つの仮説が思い浮かびました。
今回は三上真司氏率いるタンゴゲームワークスのサイコブレイクがなぜつまらなくなったのかについて書いていきます。
私はこの原因についてスープを捨てられなかったからではないかと考えています。
・スープを捨てた三上真司 スープを捨てられなかった三上真司
あなたはバイオハザード2に没バージョンが存在したことを知っていますか。
これはバイオハザード2が開発される前に作られていた未発表版で、通称バイオハザード1.5と呼ばれています。
このバイオ1.5のディレクターは、バイオ2を始めデビルメイクライやベヨネッタを作ったことで有名な神谷英樹氏。
この動画を観ていただければ分かるかと思いますが、
警察署が舞台だったり主人公にバイオシリーズの人気キャラ「レオン・S・ケネディ」がいたりとバイオハザード2に似通った点が複数あります。
バイオ2をプレイした人なら女主人公が違っていたり見かけないステージがあったりすることは分かるかと思います。
しかしこのバイオハザード2とバイオハザード1.5との間には決定的な違いがあります。
それは面白いかどうかの違いです。
そう、ぶっちゃけた話しバイオハザード1.5はプロデューサーの三上真司氏他スタッフが全員一致で
「これはつまらない」
という感想を抱いていた言わば駄作だったのです。
三上氏はバイオ1.5の開発中から「このゲームはつまらない」と気付き始め神谷氏に指摘し続けましたが神谷氏はこの指摘を聞き入れなかったそうです。
その結果バイオ1.5は雑誌でキャラやゲームシステムまで発表される段階まで進んでしまいます。
しかし来るところまで来た段階でついに三上氏がカプコン上層部にバイオ1.5の開発中止を進言。
この時三上氏は辞表を持って上層部にかけあったと言います。
それほどの覚悟で掛け合った末に再開発スタートしたバイオハザード2は、同シリーズ中で今なお歴史的セールスを記録した名作として語り継がれています。
実はこの開発中止騒動は名作バイオハザード4の時にも起きています。
この没バージョン、通称バイオハザード3.5も発売できるクオリティに達していなかったことからPVを発表した後にも関わらず三上氏が開発中止することを決意。
結局三上氏自らがディレクターを務め作り直されたバイオハザード4はこれまた歴史的セールスを記録する名作として有名となりました。
この様に、バイオハザードの人気作は大体開発を中止するという決断があったが故に名作になり得たとも言えます。
しかしここまでの決断、自身の会社タンゴゲームワークスの第一作目となったサイコブレイクでは果たしてできていたのでしょうか。
私は恐らくできていなかったのではないかと考えます。
その根拠はこのインタビュー動画です。
このインタビュー後半で三上氏はゲーム開発を「料理のダシ(スープ)作り」に例えています。
この例えについて三上氏は
「料理で美味しいダシを作るには基本から作り始め、ちょっと味を足しては味見し、ちょっと味を足してはまた味見し、気に入らなかったら全部捨てるという工程を繰り返さなければならない。
しかし最近のゲーム開発ではそうはいかない。」
と苦笑しながら話しています。
つまり最近のゲーム開発は途中でおかしな要素や面白くないと気づいてしまった要素が見つかってもそのまま開発を続けなければならないというのです。
インタビューでは一度作った要素を捨てることができない理由については説明されていません。
しかし恐らくその原因はゲーム開発が複雑化していることにあると私は考えています。
最近のゲームは昔と比較にならないくらいゲームハードの性能が高く、複雑なプログラミングや美しい映像表現を作ることが可能です。
しかしそれを作るためには最新の開発環境と複雑なプログラミング、そして調整が必要となり、結果として多くの人材を使って作る一大プロジェクトとなってしまいます。
一大プロジェクトとなれば時間も開発コストもかかりますし、当然のように大作を期待されるでしょう。
そして大作となればそれなりのボリュームをもちろん要求されます。
つまりこれまでに作ってきた全てのものに膨大な時間と複雑なプログラミングが割かれているため、そんな簡単に一度作ったものを捨てることなどできはしないというわけです。
その取捨選択を満足にする事ができなかった結果、サイコブレイクはダルくてあまりにも支離滅裂過ぎる内容となってしまったのではないかと私は考えます。
また、システム面で一番ダメだったローディング時間の短縮も必ずしてから発売してほしかったです。
かつてスープを捨てる決意ができた三上真司氏も現在ではその決意ができない状態にあり、その結果今回のような残念な出来になってしまったのではないでしょうか。
サイコブレイクにはもっと捨てる覚悟が必要だった
基本的に三上氏のゲーム作りというのは自らのアイディアを具体化するというよりは開発スタッフが出したアイディアを採用するというスタンスだと思います。
実際今回のサイコブレイクも端々に開発スタッフそれぞれの強いこだわりを数多く見ることができましたし、実際その作り込みもかなりのものであると分かる気合いの入れようでした。
ですが、正直そのクリエイター側の「この作り込みスゴイでしょう!」というある種強すぎるメッセージが逆に鼻についてしまい、逆に違和感となっていた感は否めません。
そしてその強いこだわりがまたプレイヤーをゲームに没入しにくくする原因となっていたと私は思います。
個々の場面に主張が強すぎてイマイチまとまりが無いように感じたからです。
そして後半ちょっとダレ気味となってしまうボリューム。
もうちょっとゲームを1周する長さが短くても全然良かったと思います。
強いこだわりのフラット化とクリアまでのボリュームの縮小をするだけでだいぶ評価が変わってきたのではないかと思います。
ゲーム開発環境の高コスト化やユーザーから求められる期待、
そしてどんどんシビアに求められるようになる映像クオリティとボリューム。
ゲーム開発は昔よりリスキーなものとなってきています。
ですが、だからこそタンゴゲームワークスには捨てるという覚悟という初心を忘れずにこれからも日本を代表するゲーム会社として第一線で活躍していってほしいものです。