あなたは押切蓮介先生の「ハイスコアガール」という漫画を知っていますか?
「え?ああ知ってる知ってる。あの著作権で問題のy・・・」
違う、そうじゃない
そんなのはどうでもいいんだよ!
という訳で今回はバイオっさんが大大大好きな漫画「ハイスコアガール」について語ります。
あなたもこの漫画で「あの頃の自分」に還ろう!
・少し怖かったゲーセン 貴重だった100円玉 そしてあの日の夕焼け
このハイスコアガールは基本的に作者である押切蓮介先生自身が体験したエピソードを元に描かれています。
ゲームセンターの思い出というのは面白いもので、話している内容でその人が大体何歳くらいなのかが分かります。
ハイスコアガールで主人公のハルオが小学生時代やりこんでいたゲームは「ストリートファイター2」、そして中学時代にやっていたのはPCエンジンの「THE 功夫」や「源平討魔伝」などということから押切先生は30代半ばであろうということが容易に想像がつきます(今wikiで調べたら35歳だった)。
私は現在30代前半。
つまり若干知っているゲームややりこみ度がハイスコアガールとは異なります。
ですがそんなのはほんの些細なこと。
そんなことは気にならなくなるくらい面白い世界観があなたを虜にすることでしょう。
ちなみに私は「少し上の兄ちゃんの話」くらいのスタンスでこの漫画を読んでいます。
知っていたゲームも知らなかったゲームも押切先生フィルターにかかれば全て魅力的に描かれてしまうわけです。
というか知っているゲームが出てくるだけで私はもう嬉ション状態です。
押切先生は学生時代ゲームをやりこみ過ぎて勉強を全くしなかったためひどく頭が悪いという話でしたが、その半面ゲームに関わる記憶の鮮明さが本当にズバ抜けてヤバい!
「あーこんなゲームや体験あったわー」と嬉しくなる反面、「よくそんな鮮明に覚えているな~」と関心しっぱなしな訳です。
まだ現在の様に家庭用ゲーム機が普及しておらず高価だった時代、我々にとって常に新しいゲームが登場し続けるゲームセンターというのはちょっぴり怖く、そしてラスベガスも真っ青の甘美できらびやかな空間でした。
その雰囲気を漫画の中にとてもうまく表現している所に押切先生のゲーセンに対する深く熱い思いを感じ取れます。
ガラの悪そうな兄ちゃんがいそうな暗い建物。
ビガビガしたBGM。
アメリカのお菓子かと思うくらいの派手なカラーで目を奪うアーケードゲーム達。
駄菓子屋ならいろんなお菓子を買える100円玉を握りしめ、そのプレッシャーに耐えながらゲーム筐体に投入したあの頃がこの漫画に詰まっています。
余談ですがバイオっさん的に一番胸がときめくシチュエーションは
ボウリング場のゲームコーナーにある音がギンギンする感じのゲーム
これです。
そしてそこにセガのマイケル・ジャクソンが主人公の
MOON WAKER(ムーンウォーカー)なんてあった日にはあなた!
ポゥ!(落ち着け)
このゲームのハイテンションぶりは今考えても相当常軌を逸しています。
主人公がマイケルな時点でヤバいのに手からビーム出すわロボットに変身するわ全体攻撃がダンスで全員が踊りだすわでもう脳みそがとろけそう!!
未だにやりたくなる名作ゲームですよ。
クォータービュー(斜め上から見下ろす視点)ということもあって臨場感もハンパありませんでした。
やばいまたやりたくなってきた。
話が逸れました。
とにかくそんな感じでゲーセンが一番輝いていた時がハイスコアガールの時代設定となっています。
個人的に一番好きな所は大阪でスーパーストリートファイター2Xの大会があった時の話。
対戦相手が隠しキャラである「豪鬼」という強キャラを使おうと隠しコマンドを入力するもこれを失敗!
コマンドをミスった時に出てしまう茶色のリュウを選んでしまうエピソード。
これが個人的に凄く好きです!
わっかるー!
貴重なお金を使ってプレイするので望んでいたキャラ以外が出てしまった時のショックたるや・・・。
豪鬼はこの他にもXMENで隠しキャラとして登場していましたよね。
そしてキャラセレクトで失敗して
シルバーサムラ~イが出るわけ。
もうここらへんはお約束です。
そんな細かいところまで描いてくれるのが嬉しくて嬉しくて!
ますます好きになってしまいます。
この漫画で描かれる世界観は本当に素晴らしく、まるで自分が子供の頃にタイムスリップしたかのような気持ちにさせてくれます。
それは単に昔あったゲームが登場するだけではありません。
子供の頃、学校帰りに見た光景や駄菓子屋の匂い、別に何もないのに妙に切なく寂しい気持ちになったあの夕日までもが鮮明に描かれているんです。
これは押切先生自身が見た光景であるのと同時に、当時同じようにゲーム三昧の日々を過ごしてきた自分が昔見た光景でもあるのです。
絵の上手い下手では表しきれないこの空気感の表現力こそが押切先生の類まれなる才能なのだと私は思っています。
そしてハイスコアガールの魅力はこれまで書いてきたゲーム・空気感のリアリズムの他にもう一つあります。
・こうあって欲しかった!恋愛というファンタジー要素
主人公のハルオは無類のゲーム好きで、勝利に貪欲過ぎて性格がひねくれているところがあります。
対戦格闘ゲームで癇癪持ちのプレイヤー相手にわざと相手を怒らせる戦い方を仕掛けたり、ガイルでハメたり、見た目がグロいキャラが好きだったり(サムスピだと不知火玄庵とか)、女の子からもらった手袋をボタンのこすり連打に使ってボロボロにしたり・・・etc。
基本ゲームが絡むと意地汚く横柄な態度です。
実際格ゲーというのはどう相手の行動を読むかというのが重要なので、こういった底意地の悪さというのは勝つために必要な要素だとは思います。
恐らくここらへんは押切先生自身のプレイスタイルが影響しているのでしょうか。
自身がかなりの格ゲー、しかも対人戦好きだったそうですから結構好戦的だったかもしれませんね。
普通にそこだけピックアップしたら嫌なゲーム漫画で終わってしまいますがそうはいきません。
この漫画には学生時代のゲーマー達が体験したかった恋愛・友情要素が絶妙に配合されているのです!
まずハルオが初回から対戦でコテンパンに負かされてしまうも何か恋愛めいた感情が芽生えつつある無口なヒロイン大野さん。
そして中学時代に出会い、自分勝手なハルオに振り回されつつもその純粋さに惚れてしまう天然系天才ゲーマー日高小春。
勉強もせずゲームばかりをしていた過去を持つゲーマー達にとって
もしも学生時代自分がただゲームをしていただけで女の子と恋愛関係になれたら
というIFシチュエーションは胸が高まりますよね!
そして爽やかイケメンの親友(ゲームはやらない)がいるというオプション付き!
全てが昔「こうだったら良かったのにな~」というシチュエーションなわけです。
このようにハイスコアガールには昔のゲーマー達が経験した「リアル」と経験したかった「ファンタジー」が上手く融合され、生き生きとした動きを見せる。
それこそがこの漫画を唯一無二の作品に仕上げているのだと思います。
ゲームに出てくるキャラクターが主人公達に話しかけてくるのも面白いアイディアですよね!
・著作権問題?気にするな!早く続き書いてください!
かなりの有名作品なのでもしかしたら知らない人の方が多いとは思いますが、
今回改めて紹介させていただきました。
通称「ハイスコアガール事件」などと言われている著作権問題については全く興味がありませんし、それとこの漫画の魅力とは何の関係もないと私は考えています。
なのでここではその件について触れることはしません。
ただただ1ファンとして押切先生が少しでも早く連載再開してくれる日を待つばかりです。
ハイスコアガールはファンタジーですが、押切先生自身の過去を描いた漫画「ピコピコ少年」は現在最新作をネットで読むことができます。
ハイスコアガールを気に入ってくれた方なら必ず楽しめるはず。
漫画はこれまでに2作出ていますが、こっちは「リアル」オンリーな内容となっております。
私はハイスコアガールと同じくらい押切先生の過去話が大好きなのでこちらも楽しく読んでいますよ。
本当に一刻も早く連載再開してほしいものです。